◇「基礎数値」資料に「オタヤ開発」と明記

 富山県高岡市の「単コロ」問題。前回に引き続き「健全化判断比率の基礎数値」から読み取れる内容を詳しく見ていきましょう。まずは最新の2019年度(令和元年度)の表で、オーバーナイトと単コロに絞り込んだ全国データを再掲します。金額の単位は千円です。

 高岡市のデータは赤線で囲んであります。

 それによると、高岡市は「オタヤ開発」という団体に「特定短期貸付金等」、つまりオーバーナイトか単コロで処理した短期貸し付けが5億6000万円あることが分かります。そして「貸付金の種類=2」によって、それが単コロだったと分かります。その右側「法人形態=6」は、総務省のコード表から、株式会社(資本金1億円未満かつ負債200億円未満)を示します。

 つまり、高岡市はオタヤ開発という株式会社に返済期限1年未満の短期貸し付け5億6000万円を19年度に行い、その返済は高岡市の20年度の予算で賄ったのに、19年度内に返済があったかのように処理した、という内容になります。18年度、17年度も同じ内容です。

 「オタヤ開発」という会社名が出て、この話と朝日新聞紙上に先日載った3本の記事がやっとシンクロすることになりました。

 ではオタヤ開発という株式会社と高岡市との関係、および5億6000万円の短期貸し付けについて、公開されているデータで調べてみましょう。

 ネットで「オタヤ開発」を検索すると、いろいろなものがヒットするのですが、参考になるのは以下のものです。

・「御旅屋セリオ」ホームページの会社案内ページ

・高岡市のホームページに掲載されている、オタヤ開発の経営健全化方針(pdf文書)

・高岡市ホームページのサイト内検索で「オタヤ開発」を検索すると出てくる予算案の説明文書や市議会常任委員会審査報告書など

・高岡市議会の会議録検索

・株式会社大和の有価証券報告書

 これらの資料には今後も適宜触れていきます。

◇短期融資の金額は予算関係書類と一致

 上記のリンク先の資料は膨大です。とりあえず現在必要な最低限の情報をまとめておきます。

・オタヤ開発株式会社は高岡市が出資(20%)する第三セクターであり、高岡市中心部にある「御旅屋セリオ」という大型ショッピング施設を所有・管理している。売上の多くを施設フロアの賃貸に負っている。

・高岡市は2004年度(平成16年度)から、経営難となったオタヤ開発支援策として毎年8億円の短期貸し付け(年度内に返済義務)を実施。これは関係者で構成される経営再建委員会がまとめた支援策に基づくもの。赤字の駐車場を2億5000万円で市が買い取った後、2009年度からの短期貸付額は5億6000万円となり2019年度まで継続。オタヤ開発への貸し付けは毎年度の市の予算書にも明記されている。

・御旅屋セリオのキーテナントだった百貨店・大和高岡店が2019年8月に撤退。高岡市は12月、市土地開発公社に土地と建物のかなりの部分をオタヤ開発から約10億円で買い取らせ、市の一部部署や公的機関などの入居を進めている。

・2020年度の市予算ではオタヤ開発への短期貸し付けではなく4億6000万円の長期貸し付けとなる。

・2019年度のオタヤ開発決算で、オタヤ開発は28億円余りの大幅な債務超過に転落したことが判明。総務省の通知に基づく経営健全化方針を策定し2021年3月に公表。

 2019年度予算案の資料から、オタヤ開発への貸付に関するものを載せておきます。ここには「短期」貸し付けとは記されていませんが、これまでの議会で明確に短期貸し付けだと説明されています。

高岡市2019年度当初予算案の説明資料「平成31 年度予算(案)における主な事業 」から

  予算説明に書かれてある文面は遡っていくと少し変化します。2012年以前は「オタヤ開発に対して、地権者、キーテナント、金融機関、高岡市など関係者の強調のもとに、同社の経営健全化を図るため所要額を融資する」。そして2007年度は事業名が「オタヤ開発支援事業」となっています。また、2004年度の最初の8億円貸し付けは、議会で「緊急」融資であることが市側から強調されていました。

 いずれにせよ、表にあった5億6000万円は、確かに高岡市がオタヤ開発に貸したものだと確認できます。ただし、この貸付金が単コロで処理されていたというようなことは議会での発言なども含めどこにもありません。「単コロ」と明示されているのは、これまで示した財政状況資料集と健全化判断比率の基礎数値のみです。

 ただ、繰り返しますがこの「単コロ」の表示は、高岡市が自主的に表明しているものです。それを外部の人が額面通りに受け取るのはしごく当然のことです。

 朝日新聞の確認に市側は「それは当時の担当者の勘違いで本当はオーバーナイトだった」と答えています。その詳細は再度市側に確認の上検討しますが、仮に「勘違い」だとすればどういうことになるのか、次回で考えてみたいと思います。

(朝日新聞ジャーナリスト学校・真下聡)

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