【登場人物】
先生(先)=まちの財布について何でも知っている
市民(市)=会社員。今度の議員選挙に立候補を予定
記者(記)=今度、行政担当に指名されている
A3だけど「カード」
先 「基礎の基礎2」講座では、全7回で自治体財政分析の中身に入っていくよ。全体像を知ることが大事だから、まずはそこから説明するね。
記 はい。
先 それにはとっても便利な道具がある。これだよ。
記 おお先生の服に大きなポケットが。四次元ポケット?
先 ふふ。けっさんかーどー!(ピカピカ)
記 先生、引っかかってて出てきません。
先 あ、こ、これ。(ガサガサ)
※ここから先は、実際の決算カードを見ながら進みましょう。ここから総務省サイトの福井県内平成29年度の決算カードに行けるので、その福井市分だけ(全体18ページの2ページ目)をA3でプリントアウトして参照してください。
記 何やら細かい数字がたくさん。
先 えへん。これが「決算カード」だ!
市 カードって、A3じゃないですか。
先 いいの! それでも「決算カード」って呼ばれてるから!
市 どこに「決算カード」って書いてあるんですか?
先 書いてない。。
市・記 はあ?
先 みんな「決算カード」って呼んでるけど。本当は「●●年度決算状況」ってタイトル。
市 A3だし、名前違うし、じゃあなんで「決算カード」って呼ばれてるんですか?
先 それはね。それぞれの自治体のある年の決算の状況が、この1枚を見ればほぼ分かるようにできているから。「1枚で分かる」から「カード」。
記 A3でこれだけ細かい字で数字入れたら、そりゃあかなりの部分が入るとは思うけど。。
先 とにかく中身を説明するよ。まず一番左上の部分。
記 「平成29年度 決算状況」
先 うん。他にも似たような書類があるから気をつけよう。「決算状況」とあるのが「決算カード」。これは一つの年度、一つの自治体に1枚ずつある。で、年度は元号で表記するから、近くに西暦も書いておくといい。
記 なるほど。平成29年度だから、2017年度ですね。書いておこう。で、これ、どこの自治体のですか?
先 それは一番上の右の方にある。ここでは福井県福井市。
記 分かりづらっ。
歳入・歳出・収支・貯金借金・指標
先 いつの、どこの決算状況かが分かったら、決算内容にいこう。「基礎の基礎1」で学んだものがある。
市 「歳入」と「歳出」。
記 あと、「収支」。
先 はい。歳入は左上の半分以上を占める青い部分。歳出は左下3分の2ぐらいの黄色部分。収支は右上の赤い部分。
市 他にも色の付いたのが二つあります。
先 うん。グレーのところが「貯金と借金」。そして緑のところが「指標」類。この五つのエリアのことをまず理解していこう。
市・記 はい。
先 ここでは簡単に五つのエリアについて説明しておくよ。
「歳入」はまちに入ってくるおカネ。元気なまちなら税金として比較的たくさんのおカネが入ってくるから、まちの現状がここに表れる。
「歳出」はまちが使ったおカネ。現状に対して、首長たちがどのようなことを考え、どのような手を打っているのかが表れる。
「収支」は歳入と歳出の結果であり、やりくりの結果でもある。このまま続けていけるのかが見えてくる。
「貯金と借金」は見ての通りだけど、まちがピンチになるときには、まずここに黄色信号が点滅することが多い。
「指標」類。まちの財布は複雑で、単純な収支だけではうまくいっているのかどうか、分からない。だから様々な指標を用意して、できるだけ現状をつかめるようにしている。
市 ふうん。まだピンと来ないけど。
先 当然ね。これから一つずつ見ていくよ。