【登場人物】
先生(先)=まちの財布について何でも知っている
市民(市)=会社員。今度の議員選挙に立候補を予定
記者(記)=今度、行政担当に指名されている

予算で認められた経費、減らされる会社

市   ところでうちの会社、このままだと今年赤字決算になりそうなんです。

記   うちもです。で、どうしてるの?

市   予算で認められた経費が、年の途中でどんどん削られてる。もう出張行けないかも。

先   そう。それが「会社」の財布の考え方。「まち」の財布とは決定的に違うこと。

市   どういうことですか?

先   会社が最終的に目指すのは何?

市   利益、ですね。

先   その利益はいつ確定する?

市   最後ですから、決算の時です。

先   そう。企業にとって予算は1年間の「目標」。途中でも柔軟に修正して、できる限りいい決算を目指す。だけどまちの財布は違う。

記   みんなから集めたお金を使うから?

先   うん。それもあるけどもっと大事なことも。

市   ん?

先   会社がお金を使うのは、利益を上げるためだよね。では、まちの場合は?

市   そこに住んでいる人たちが幸せに暮らせるように。まちがさらに発展していくように。そのため必要なことに使う。

予算通りに使わず黒字、まちはNG

先   だから予算段階できちんと調べて、決まったらお金は予算通りに消化していかなければならない。まちにおいては必要なお金を使わないで黒字にするのは逆にダメなこと企業は「決算主義」、自治体は「予算主義」ともいわれるのはこういうこと。

記   なるほど。だとすれば家庭はまちの財布と似てますね。

先   うん。でも違うところもある。例えば、まちの財布で予算をはるかに超えて税金や寄付金が集まっちゃったとすれば、その年の決算は黒字になる。

記   はい。

先   この場合、1年だけならまあ、翌年以降に備えて貯金することになる。でも、それが3年、5年と続いて、今後も続きそうだとしたらどうなるかな?

記   そのまま貯金していくのではないですか?

先   キミたち、自分の財布から税金として取られているんだよ。想像してごらん。

記   あっ。それ税金取りすぎだ、ということに。

先   そう。だったら税金減らせ、と。

記   本当に必要十分な予算を立てて、それで十分なのであれば、確かにそうですね。

先   家庭はそうではない。想定より給料が多く来ても、別に会社に返さない。

市   当たり前です!

先   みんなのお金を税金などとして集め、みんなのために使途をきちんと決めて、その通りに使っていく。これがまちの財布の考え方の基本。とにかく利益を求める会社とは全然違う。これ、とても大事なことだよ。

市・記 分かりました!

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